SAT 水なしインキの開発のむずかしさ

 

大変ご無沙汰しておりました。SAT機のように、ゆっくりな牡牛です。(500枚〜8000枚/時間)今年の梅雨時は、涼しくて過ごしやすいんとちゃうか。と思っていたのですが、梅雨明けと同時に、猛暑が訪れ、たまらん暑さでした。家に帰ってもエアコンは付けっぱなし状態で、電力大丈夫なんかと心配しちゃいますけど、消せません。

 

名古屋の夏は昔から、猛暑ですけど、最近のは異常すぎます。どこまで高温化していくのか予想がつかないし、なぜ高温化してるのか、理由がわかりません。温暖化はCO2の濃度が高くなってるからという意見もあれば、氷河期の前触れだという意見など、要は、原因は分からずのように思います。そして、夏が終わり、暦の上では秋になりました。

 

少し、楽な感じと思いきや、温度計は、28℃を超えていて、暑いはずなのですが、涼しく感じてしまいます。熱中症で、重要なのは、こまめな水分摂取ですが、冷たい水など、美味しいので、ついつい飲みすぎてしまう、ビールと一緒ですね。でも、水分を摂りすぎると、血管内のミネラルが薄くなって、身体が、水分を外に出そうとして、水分摂りすぎの脱水になってしまうそうです。恐ろしい話です。このように、人間の身体は、微妙なバランスで成り立っているので、無謀な事はなるべく控えた方がいいと思います。

 

印刷でも、浸透圧のようなものではないのですが、微妙なバランスの部分があります。例えば、SATのような水なしオフセット印刷機のローラーとインキの相性で、ローラーにやたら浸み込む成分の多いインキだと、インキ締まりと言って、ローラー上にインキがこびり付いたように溜まってしまい、表面が乾いたようになってしまう現象です。水なしUV印刷は、インキの種類によって、顕著に発生する場合があります。

 

恐らく、UVインキの、モノマー成分がローラーの樹脂ゴムに入り込んでしまうようです。試しに、締まるインキのモノマー(レジュサー)をローラーに滴下すると、あっという間に樹脂ゴムに染み込んでいきます。そうでないインキのものは、滴下しても表面に留まっています。当然、締まりやすいインキですと、物性や反応基の割合が締まりによって崩れてしまうので、綺麗に刷れずに、地汚れや、接着不良につながります。

 

また、印刷物への転移性に問題が出てきて、印刷時のインキ量のコントロールができなくなってきて、破綻を招くようになります。つまり、需要と供給が徐々に変わり、調整し辛くなってしまうのです。こんな時、水があって乳化バランスと、非画線部の水量の調整ができると、もう少しなんとかなるみたいですけど。SATシステム印刷では、製品が非給水紙(プラスチック)なので、普通の紙と違って水の逃げ場(紙に染み込む)がなく、完成品もインキ層が、水を抱え込んでしまう事になるので、水によるトラブルが起きてしまい、水は使えないのです。プラスチックや、インキ樹脂は、水分を含んでいると加水分解が発生して、製品の耐久性を落としてしまいます。

 

従いまして、耐久消費材の加飾が目的のSATシステム印刷が、水なし版を選んだのは、水を使わずに印刷できるからです。なので、水なしUV印刷で使用するインキには、水を使わない代わりに、事前のインキ製造段階で、ある温度範囲で、安定して印刷できる性能が求められます。インキメーカーさんは、いろんな条件を満たす為のデータ取りが大変だと思います。これは、インキの用途だけでなく、素材に合わせた仕立てや、ローラーに対し、インキ締まりなく、用途とする素材に転移、接着する必要があるということです。ハードルは高いと思います。しかし、今後は、製品の耐久性だけでなく、水の環境の問題からも、水なし印刷は、有効になっていくと思います。

 

暑さの続く残暑に、美味しい水ががぶ飲みできる日本ではピンとこないかもしれませんが、水の貴重な国は多々ありますので、水なし印刷技術の熟成は必至であると信じております。という事で、今回は、水なし印刷の必要性と、それ用のインキの開発の必要性の簡単な意見を書いてみました。

 

牡牛でした。


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